2008年12月7日日曜日

外見質素な宿根木集落-佐渡③

佐渡の西南端にあたる小木地区は、北前船交易が盛んだった頃は、佐渡のメインの港があったところ。相川などの金山で鋳された金銀の積み出しは勿論、日本海側の諸都市と畿内、江戸を結ぶ廻船ビジネスで、大いに賑わったそうです。

現在、直江津と佐渡を結ぶ小木港近くの宿根木(しゅくねぎ)に、伝統的建造物群保存地区があります。大きな岩山を背にして、海岸との間の狭い場所に黒々と密集する集落です。公開されている古民家も一軒ありましたが、大半は現に人が住んでいます。

強い風を避けるため、集落の入口のところに、竹で編んだ大きな風防壁があって、ここをくぐり抜けて足を踏み入れると、車が通れないほど細い路地で家々が結ばれています。庭が殆どなく、黒灰色の壁を接して、みっしりと家が立ち並んでいるので、いったん火が出ると手がつけられないかも?

このあたりの家の壁は、杉や楢?などの板張りで、漆喰は使っていません。屋根は、今は殆どが瓦葺になっていますが、一部に木羽葺きに赤ん坊の頭ほどの大きさの石を並べ置いた屋根も残っています。山形県庄内地方でも昔はこれが標準だったそうで、「蝉しぐれ」等の映画でおなじみのものです。外見は特別凝ったデザインでもなく、ごく質素な趣ですが、内部を覗くと、太い柱や梁が重い屋根を支え、戸障子には漆をほどこし、立派な神棚が設えてあったりで、かつての勢いと内福振りが偲ばれます。今地元では、このような古民家を宿泊施設に転用する試みが始まっています。

宿根木集落の一番奥に、かつて佐渡で大いに栄えたという時宗の古刹が、ひっそりと建っています。佐渡に配流された世阿弥も時宗の法名を持っていますが、かの人もこの道場を訪れたのでしょうか?

 

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