2008年12月7日日曜日

16戸50人の頑張り

智頭の街中から30分ほど車を走らせると、静かな中山間地帯に、新田という名の集落がある。八頭郡のことをネットで調べていたら、わずか16戸50人ほどの小部落でNPOを立ち上げ、村おこしに取り組んでいる、とあったので、一体何をやっておられるのか、ぶらっと訪ねてみた。

杉林と棚田に囲まれた、本当に小さな集落。NPO活動の中核拠点は、「清流の里」という小さな食堂兼喫茶店で、人形浄瑠璃の舞台を設えた広い座敷が続いている。この日は偶々、鳥取のほうから老人クラブの人たちがバスでやってきて、人形浄瑠璃を見た後、昼食を楽しむという。ご一行様が来るまでに予行演習をやるので、見たかったら見てもいいよ、と声をかけてもらったので、厚かましく見学させていただく。

浄瑠璃はテープだったが、人形は首、衣装ともほんまもので、今日の演しものは「傾城阿波の鳴門」の母娘対面の場。人形遣いは、平均年齢60才?前後のおばさん達で、中々年季が入っている。荒ぶる男達の慰みにと、明治時代に始まったこの地の人形浄瑠璃は、途中途絶えかかったこともあったらしいが、代々受け継がれて早や1世紀。 人形浄瑠璃の館や人形の保管庫も整備されて、今や鳥取県のあちこちから声がかかるらしい。

このNPOは大阪の子供達の田舎暮らし体験交流や、研修宿泊施設の運営、長期滞在用ロッジの貸し出し等、日常の農作業の合間を縫って、精力的な交流活動を行っている。行政との間合いの取り方やNPOの収支など、伺いたいことはいろいろあったが、皆さん忙しそうで、それどころではない。昼食の支度や、舞台関係の人たちを含めて、当日のメンバーは、一番若い人で50歳以上は間違いなさそうなのに、皆さん身体がまめに動いて、すこぶる元気。わずか16戸でも、できることがあることを、身をもって示されていた。

 

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