2008年12月15日月曜日

琵琶の弾き語りで遠野民話


遠野の伝承民話は、地元のおばあちゃん達の語り部が、訥々と語るのを聞くのが普通です。柳田国男が編纂した「遠野物語」は、装飾的修辞や余計な感情移入を削ぎ落とした民話集ですから、想像力の欠如した私なんかには、読み物としては恬淡とした印象しか残りません。その点、遠野市立博物館のAV画像で見る昔話は、鮮やかな色彩と幻想的な絵柄で、なかなか魅力的な映像に仕上がっています。
 
民話の中には、凄惨で血腥い話も数多く含まれています。でも、語り部の口を通すと、南部訛りの独特の柔らかさと、こちらが東北弁の細かいニュアンスを聞き分けられないことも手伝って、母親の胎内でぬくぬくと怪異譚を聞くような趣になります。しかし、同じ話でも琵琶の弾き語りで聴くと、琵琶特有の不気味な顫音と心臓の鼓動を高めるような撥音が、おどろおどろしい雰囲気を醸しだすから不思議です。機会があったら、是非お聞き逃しなく。

 
 

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