2008年12月7日日曜日

齢110歳の家を守る-佐原行その1

佐原には何度も行ったことがありますが、いつも6月のアヤメ、菖蒲のときに水生植物園を訪れるだけ。今回は、街中の散策に出かけました。あやめのシーズン中は、このあたり一帯は、ものすごく車が渋滞しますが、この日は国道51号線もスイスイ。

JR佐原駅の近くに観光案内所がある、とサイトに出ていたので、先ずは佐原駅へ。最近のローカル駅は個性的なところが結構ありますが、ここは暖簾などたらして、随分風変わりです。佐原駅というよりも「佐原の湯」といった感じです。

画像2は、佐原駅の正面玄関に埋め込んである標識。さすが、実測日本地図の元祖、伊能忠敬を輩出した地です。氏の歩幅が70センチであったという表示に加え、市内の著名な場所への方向と距離が「歩数」で示されています。

駅前観光案内所で佐原のまち歩きマップを入手。地元名産品の販売コーナーや喫茶店まであって、観光案内所としては、なかなかユニーク。
「新橋本にHさんというお宅、あります?」
「ああ、福新さんのことでしょう」
「何かご商売なさってるんですか?」
「大昔からの呉服屋さんですよ。旦那さんが亡くなったので、今はおかみさんが頑張っておられますよ。最近は小物類も扱っておられるようです」と、こちらが聞いていない事まで教えてくれる。
「えっ? 若いおかみさん、おられません?」
「その人は、この近くでパソコン教室やってますね」
さすが老舗の有名人、個人情報保護もへったくれもありません。

画像3は、1895年頃の建築といわれる福新呉服店の正面全景。このあたりの老舗には、自動ドアなどという今風なものはありません。重いガラスの引き戸は、この日は風が強かったせいか、閉められていました。外からほの暗い内部を覗き込むと、ズーッと奥まで土間が続き、太い柱や板戸は110年の歳月を経て、黒光りしています。目つきの悪いのが中を窺っているのを見て、Hさんのお義母さんは気味悪がって、旦那様の位牌に加護を祈っておられたかもしれません。

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