2010年2月21日日曜日

気仙沼のいろり焼居酒屋【福一】

気仙沼に、炭火で新鮮な魚介類を焼いてくれる店があるというので、出かけてみた。その居酒屋「福一」は、気仙沼の魚町という、古い建物も結構残っている情緒ある街角の一角にある。観光船の乗り場にも近い。

店は、小さなカウンターと座敷、それと囲炉裏を囲んだ椅子席(せいぜい10人ぐらい)が設えられている。われわれは当然、囲炉裏端に陣取った。お客さんの注文に応じて、この店の主人が、串に刺した魚介をこんもり盛った炭火の周りにかざしてゆく。さりげなくやっているようで、実は細心の注意を払っていることがよく分かる。炭火の具合、魚介の大きさや特徴に応じて、串の位置や向きを手まめに変えている。香ばしい匂いが立ち込めて、焼きあがるのが待ち遠しい。

この日食したのは、
・秋刀魚の刺身(とろっとした甘みがあって、ぜんぜん生臭くない)
・イカをイカワタであえながらの焼き物(独特の風味で旨いが、血圧が上がりそう)
・イカワタの刺身(煮付けも旨いが、生は初めて。よほど新鮮でないと地元でも食べないらしい。日本酒が進みます。)
・牡蠣の剥き身串焼き(最上の焼き加減。大振りの牡蠣が4連で500円以下だから安い)
 
主人の気仙沼談義を聞きながら、本日のメイン「きんきの串焼き」を待つ。大きな皿にふっくら横たわったきんきは、見事な焼き色をつけて、なかなかの威厳。皮の香ばしさと白身が引き立てあって、あっという間に平らげた。皿を引いてから、かぶとや骨をもう一度炭火で焼いて、潮汁に仕立ててくれた。これも文句なしに旨い。
 
福一の店主の紹介で、食後酒を飲みに行ったバーのご主人曰く:われわれ老夫婦の一年に一度の贅沢は、「福一」できんきを焼いてもらうことなんですよ。(地元の人でも、そうなんですね~)
 

2010年2月15日月曜日

ふかの水揚げ-気仙沼漁港

南三陸町の少し北にある気仙沼漁港のこと。








気仙沼漁港は日本有数の水揚げ高を誇る大きな港で、森進一の演歌にも登場する。遠洋マグロ漁船がたくさん集結しているし、秋刀魚の水揚げでも有数。港のすぐ近くに大島が控えているので、かなり奥深い湾口になっている。湾内で養殖されている牡蠣、ホタテ、ホヤなども、新鮮で美味しい。
 








気仙沼で見かける魚種の中で特異なのは、さめ(ふか)ですかね。市場に並んださめは尾ひれを切り取られて、痛々しい姿を曝している。気仙沼はフカヒレの生産地として名を馳せ、漁港近くの海鮮市場では、フカヒレ関連商品コーナーが、やたらと派手で目立つ。寿司屋ではフカヒレの握りを出すところが多いが、味はさっぱり系。
 
さめの心臓は精力がつくと言うが、生食は独特の臭みがあって、正直言って、旨いと言えるような代物ではない。尾びれ以外はあまり重宝されないさめ肉を何とかしようと、地元では身をフライなどにして学校給食に出しているようであるが、生徒たちの評判はまずまずらしい。
 
 

2010年2月7日日曜日

春を告げる丼物

町役場と観光協会の肝煎りで、南三陸町では旅館や街中のレストランが食の目玉作りに余念がない。この冬は、名産のイクラを使ったイクラ丼を6店が競作して話題を呼んだ。これから「春を告げる」をテーマに、新しい丼を作るための試食会が開かれるというので、厚かましくお相伴にあずかることにした。

その前に、漁港のセリが始まるからと、志津川の漁港に案内していただいた。丁度鱈が上がったばかりで、広い市場にずらり並んだトロ箱の中身は、殆どがぼってり腹の鱈、たら、タラ。”鱈腹”とはうまく言ったもので、わが身を見ているようだ。東北では、鱈は内臓も含めてあらゆる部位を食するので、食べないのは顔だけだとか。









さて、春告げ丼の試食会の方だが、候補の食材は縮みほうれん草などの地元特産の野菜やメカブ、とろろ芋、マグロ等など。基本の食材はある程度足並みをそろえて、盛り付けや食し方はそれぞれのお店が工夫する。粘々系の食材が多いので、いかにも東北人好みの食感だが、口直しの食材が一品ほしいと思ったのは私だけか? それにしても、お互いライバル同志が一堂に会して、あれこれ品評しあうのは珍しい光景で、この結束が地域振興のエネルギーになっているのでしょうね。